ゴワゴワの原因は水の硬度かも？

トラブル知らずの健康な髪の持ち主ならいざ知らず、なにがしかの不安や悩みをお持ちの方なら、一度は「石けんシャンプー」にチャレンジしてみようと思ったことがあるのではないでしょうか？

でも、石けんで髪を洗うと「ギシギシする」「指が通らない」「ゴワゴワする」「ベタベタになる」「石けんカスがフケのように残る」･･･
そんなイメージがあってあきらめてしまった方も多いはず。

たしかに、髪が傷んでいたり、頭皮の状態がよくない場合は、初めは使いづらいですが、それだけが使いにくさの理由ではありません。 実は石けんシャンプーの使いにくさは、石けんカスが発生することも大きく影響しています。その原因は、髪を洗い流す水道水の「硬度」成分によるものなのです。

水の「硬度」とは？

水には「軟水」と「硬水」という分け方があります。その分け方の基準には「硬度」が用いられています。透明に見える水であっても国や地域よって多様な成分が含まれているが、硬度を測るための成分は、カルシウムとマグネシウムの２つにしぼられます。

つまり、硬度とは、水に含まれる「カルシウム塩」と「マグネシウム塩」の量を示すもので、この塩類量を炭酸カルシウムに換算した「アメリカ硬度」が、いま日本では一般的に使われています。

軟水・硬水を分ける基準はいくつかあるようですが、一般的な目安では・・・
硬度100以下を「軟水」、硬度300を超えると「硬水」、その中間（101〜300）を「中硬水」としています。

日本の水の硬度は、ほとんどが100以下で軟水に区分されいます。
きわめて軟水なのは、愛知県、山形県、島根県、宮城県、広島県・・・
きわめて硬水なのが、沖縄県、千葉県、埼玉県、熊本県、茨城県・・・

こちらをご参考ください。 【ソフトウォータークラブ】全国平均硬度ランキングデータ
http://softwater.jp/what/000052.html

「硬水」で石けんを使うと泡立ちが悪くなります

「硬水」に含まれているカルシウムやマグネシウムイオンが石けんと強く結合して金属石けん（石けんカス）が生じるからです。

「金属石けん」は水に溶けないために、石けんがもっている本来の機能を失い、十分に洗浄力を発揮することができなくなります。

泡が立たないと、どうしても石けんを多く使ってしまいます。そのため「金属石けん（石けんカス）」も多く発生し、髪や皮膚に残留します。すると、それがさらに石けん洗髪を難しくしてしまう のです。

塩素について

水道水は細菌汚染防止のため塩素消毒し、蛇口から出る水の遊離残留塩素を0.1mg/L以上保持することが水道法により義務づけられています。

塩素は、消毒効果のほかに酸化作用もあり、水に溶けている鉄、マンガンなどの金属を酸化し、アンモニア性窒素や有機物を分解する作用があります。そこで、残留塩素量を確保するために、水道水にやや過剰な塩素を加えています。しかし、この塩素が原水中の有機物と反応して、トリハロメタンを副生しています。

トリハロメタンは、発がん性、子どもの免疫力の低下、アトピー性皮膚炎の悪化、さらに髪や肌などの人体への影響など、さまざまな懸念が指摘されています。

まとめ

硬度が高い、ヨーロッパの水と比べると、日本の水はほとんどが軟水です。
だから、泡立ちがよく、金属石けん（石けんカス）も発生しにくく、比較的使いやすいはずですから、石けんシャンプーの正しい使い方ときわめて軟水を使うことさえできれば、石けん洗髪の効果が早く実感できるではずです。

［参考文献］
水の基本　　　千賀裕太郎　監修　　誠文堂新光社　2013
よくわかる最新　水処理技術の基本と仕組み　　和田洋六　著　秀和システム　2017
おもしろサイエンス　おいしい水の科学　　佐藤正　監修　生活と水の研究会　編著　　日刊工業新聞社　2007
美容のヒフ科学　　安田利顕著　漆畑修　改訂　　南山堂　　2012
かけがえのない生命と地球のためにあなたができること　坂下栄　著　2007
東京都水道局　https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/
水道水質データベース　 http://www.jwwa.or.jp/mizu/
uki☆uki☆せっけんライフ　 http://sekken-life.com/life/index.html
ソフトウォータークラブ　http://softwater.jp/
ニセ科学と石けんの諸問題　https://www.live-science.com/sci/nansui/nansui01.html
日本石鹸洗剤工業会　 https://jsda.org/w/index.html